オレンヂなデイズ

イタリア帰りの起業家、奮闘する

ネット広告業界騒然の超絶チート「ダイレクト・キャリアビリング」

チャオ!

春ですね!「自粛の春」って感じでどこもかしこも休業が多いですが皆さんいかがお過ごしですか?

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僕はボンジョルノプロジェクトが終わるので、次のプロジェクトの準備に奔走中です。

 

マジで良いプロジェクトだったので、名残惜しいですが次もまたイカツイやつなので超燃えています。だって働き盛りですからね。

次のプロジェクトの詳細はそのうちお知らせします。

 

さて、今日はB!プロジェクト振り返りの第3弾。

イタリアはパルマに本社を置くボンジョルノs.p.aを一時期世界の覇者(は、大袈裟ですが。。)たらしめたチート技、日本ではあまり知られていない「ダイレクト・キャリアビリング」について説明します。

 

DCB(Direct Career Billing)は、日本語に無理に訳すと「直接電話会社請求」って感じでしょうか。要するにネットで買ったアイテムの請求を電話会社経由の請求にするって言うそれだけの事なのですが、これがドエライ事なのです。

 

日本でのDCBはこんな感じの流れなのですが・・・

 

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auとかソフバンでも「あんしん決済」とか何とかの名前でやってるアレです。

 

ヨーロッパや南米などでは、なんとビックリ、上の図で言う所の4桁の数字を入れる認証フェーズが無かったのです!

て事は、ランディングページで「購入する」ボタンを押すと、それだけで購入が完了すると言うAmazonと同じ「ワンクリックで購入」が可能だったんですね・・。

(※ 商店側から見るとAmazonに出品すると高い手数料を取られる且つ同様の他商品と比較されるので、遥かに手数料の安いボンジョルノの様なPayment service provider経由で売れる方が利益が大きい)

 

クレジットカードで買えば、PINは16桁。その他にもやれCVVやらカード期限やら色々と入力しなければならないですし、仮にPayPalを使ってもID&PWの入力が必要な所を、ワンクリックで(デジタルコンテンツなら)購入完了するのはネットでコンテンツを売る人にとって凄まじいメリットだった訳です。

 

問題は、それぞれの携帯電話会社の支払いシステムとの繋ぎ込みで開発がいちいち必要って弱点がありましたが、マーチャント(アプリとかゲームとか売りたい人)はボンジョルノに任せればOK。API経由で世界中の大きな電話会社のDCBを一気に使える様になるのです。

 

<接続していた電話会社の例>

  • テレフォニカ(Spain)
  • スイスコム(Swiss)
  • オレンジ(France)
  • モビスタ(Brazil) ...など、他にも多分多数。

 

もっとも、間違ってボタンを押して買ってしまう人もかなり居たと思いますが、まぁ販売していたのが数百円のHTMLゲームだったので、さほど問題にはならなかった様です。しかし、2018年の1月から、Payment Service Directive (通称"PSD2")と言う法律が発布され、DCBを取り巻く環境は大きく変わりました。

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上のJ.P.モルガンの記事では、DCBによる購入金額上限(月額300€まで)がフィーチャーされていますが、ワンクリック購入はこのPSD2以降は禁止となり、ヨーロッパだろうがどこだろうが最低でも意思確認を含めたツークリック購入となりました。

 

・・・日本的感覚だと、なんて当たり前の話なんだと思って終わりなのですが、このPSD2による規制変更の為に、以前は100名近く在籍していたボンジョルノのマーケティング部隊は、32名にまで減りました・・。

 

冗談みたいな話ですが本当です。

敗因としては、やはりDCBを使ったデジタルコンテンツ販売に頼りすぎた点です。

 

このDCB販売は、携帯端末のSIMのユーザー情報を使っているので、WiFiに接続していると使えないと言うデメリットがありますが、ボンジョルノでは例えばFacebookのMarketing Partnerになったりして、APIを使った開発を行い、4G接続中のFacebookユーザーだけを補足する様な仕組みを実現していました。

 

その他にも、特定の携帯会社のユーザーだけを補足して広告を出したり、とにかく「DCBで決済&購入させる」と言う事を至上命題としたプロモーション活動を展開して、ある程度成功していたのですが、PSD2の様な規制が入る事は想定していなかったのです。

 

世界にはいろんなビジネスがあるんだなと思い知った良い経験でした。

ではではそんな感じで、忘れてしまう前に回顧録でした。

アリーヴェデルチ