今日は僕の出会った偉人の話を、忘れないうちに少しだけ書きたいと思う。
オペラソフトウェアで同僚だったハンス(仮名)は、今でも忘れることが出来ないインパクトで、正に「森の聖人」の名に恥じない人だった。
出張で行ったオスロで休日何もすることの無い僕に、「トモ、森へ行こうぜ」とナイスな提案をしてくれた。夏のノルウェイの森は美しくて、楽園以外のなにものでもなかった。湖も山々も、おとぎ話に迷い込んだのかと錯覚するほどだ。オスロの市電に乗って、終点の駅まで30分、そこから5分歩けばもう深い森の中だ。
スーパーでソーセージを買おうぜと行ったハンスは、本当にソーセージだけを買って店を出ようとした。何かサイドディッシュは要るかいと聞いたら、「それは森で取れるのさ」とハンス。
確かに森には極上のブルーベリーが自生しており、結果デザートは必要なかった。
手頃な川をみつけると、川のほとりで火をおこし始めるハンス、森の住人の手際のよさときたら筆舌に尽くしがたい。
僕も見よう見まねで焼いてみた。ノルウェイの川辺で食うソーセージは、未だかつて体験したことの無い美味だった。
オペラの日本法人で働いていたハンスは、何せ聖人レベルのいいヤツなので、みんなの人気者だった。
今はノルウェイに戻り、オスロのはるか北の街トロンハイムで農家をしているらしい。
世界は意外と狭いので、いつかまた会ったら森を歩きながら積もる話をしたいと思う。